2001年6月3日 日光2時間耐久レース

09.全開


 当然練習走行もしていなければ走行経験もないコース。
しかし昨年からヨーロッパの様々なコースで一発勝負のニューモデルタイムアタック試乗を繰り返しているうちに、驚くほどはじめてのコースをマスターするスピードが速くなった。「細かいコーナーが走りにくい」とカイが言っていたが、1周まわれば気にならなくなった。2周目から完全に全開。とにかく[10]のR600だけを探し、追い掛け回すことにする。

nancy.jpg

梨本圭選手

ラップはアベレージで42〜43秒台、コース上アクシデント発生で44秒台。走り出してすぐにマンジをコース上で見つけた。マンジはピットにいなかったため、俺が走っていることをまったく知らない。1コーナーの左でインに飛び込んだ。一体どんな顔をしてるだろうか?考えるだけで笑えた。
「マジかよ、悪魔が来やがったって思いました」後でマンジはそんなことを語った。
その後すぐに[10]を抜くが、リーダーボード(順位電光掲示板)のトップは俺ではなく、その[10]だった。マジかよ?ラップされてたわけか?[10]のマシンはさすがST仕様というだけあって本当に速く、また乗っているライダーはこのレースの中で俺の次のベストラップをマークした人物だった。追いつけるだろうか?とにかく効率よく周回遅れとペースカーを利用するしかない、そう思いつつ、ワタンベのF4にムチを入れまくりエッジを使いまくった。